スーパーでは手に入りにく漢方食材ですが、普段の料理にちょっと加えるだけでイヤな症状を改善したり体の不調を整えてくれる簡単に使える漢方食材を集めました。漢方薬のように苦いとかマズイとかといった、食材自体に特に味がないので使いやすい食材ばかりです。
乾物なので常備しておき、いろいろなお料理に加えてお使いください。エキスが滲み出て簡単に薬膳効果が得られます。
カラダの余分な熱を冷まして、喉の渇きを抑える夏におすすめの食材
五性:寒
五味:甘
帰経:心・胃
分類:去暑
管理こんな体質におすすめ:湿痰、湿熱、陽虚
中医学的効能 :消暑止瀉、清熱解毒、解渇利小便、清涼解暑、除煩止渇
食品が持つ主な作用 :口内炎、充血、吹き出物、腫れもの、むくみ、下痢、解毒
緑豆(リョクトウ)はマメ亜科の一年生植物、ヤエナリ(八重生、学名:Vigna radiata)の種子のこと。食品および食品原料として利用される。別名は青小豆(あおあずき)、八重生(やえなり)、文豆(ぶんどう)。英名から「ムング豆」とも呼ばれる。アズキ (V. angularis) とは同属。
生薬の名前では緑豆や緑豆が発芽した後の外殻を緑豆衣(りょくずい)と言い、カラダにこもった余分な熱を取り除き、脾(お腹)の調子を整えて働きを高めてくれ、暑気あたりを改善する効果が高く、中国や台湾では夏バテ解消のためにお茶代わりに飲まれます。夏の暑い日にお父さんが農仕事から帰ってきたら、お母さんが作った緑豆湯をまず一杯飲んで清熱をするそう。
夏や梅雨時の暑さと湿度が混じった時などは、はと麦(薏苡仁)と一緒に煎じて飲みます。
カラダの余分な熱を冷まし、デトックス
カラダにこもった余分な熱を冷ましてくれるので、発熱や口内炎、目の充血、熱のある吹き出物、や腫物などの改善にも効果的にです。
高湿度によってカラダに溜まった水分を排出するのでむくみや下痢の解消にも効果的。
薬毒や酒毒、また鉛などの重金属などの解毒にも大量に使うと効果的とされています。
緑豆は小豆よりやや小さい大きさで、色は緑色です。インド原産で、現在ではおもに東アジアから南アジア、アフリカ、南アメリカ、オーストラリアなどで栽培されていいます。日本では17世紀頃に栽培の記録がありますが、現在では日本のスーパーなどで販売されているところはあまり見かけませんね。ほとんどはもやしの原料(緑豆もやし)として利用されており、ほぼ全量を中国(内モンゴル)から輸入されています。
中国では、春雨の原料にしたり、発酵させて「豆汁」として飲んだり、そのほか料理やお菓子の材料にします。
生薬としての緑豆は、解毒・解熱・消炎・吐き気止め・血糖値の上昇抑制・利尿・美容効果・精神の安定などに効果があるとされ、なかなかのスグレモノです。
緑豆は、薬膳食材としての性味は「寒性/甘味」に属し、カラダを冷やす効能…解熱効果があります。
解熱効果は緑豆の皮(緑豆衣)にあり、豆の中身の方は解毒効果があると言われています。
中国や台湾では、解熱効果があり古来に夏の飲み物として「緑豆スープ」が飲まれてきました。
緑豆の効能としては、血中脂肪を下げる・コレステロール値を下げる・抗アレルギー・抗菌・抗癌・食欲増進・肝臓や腎臓の保護などの効用があると言われています。
緑豆の栄養成分はタンパク質・炭水化物・脂肪のほか、カルシウム・リン・鉄・ビタミンB1・ビタミンE・葉酸などミネラル分も豊富です。
緑豆はタンニンを含んでおり、鉄鍋で緑豆スープを作るとタンニンが鉄と反応してスープの色が黒くなります。また場合によっては消化不良などを起こすことがあるので鉄鍋での調理は避けた方が良いと言われています。
緑豆は寒性食品で、解熱効果がありますが同時にカラダを冷やします。なので冬など寒い季節、冷え症の人や下痢気味、お腹が冷えているときは避けましょう。(陽虚、脾陽虚体質の人は控えめに)
緑豆は、小豆より少し小さい大きさで、他の豆類よりすぐに柔らかくなります。一緒に炊くとクタクタになり有機酸やビタミンが破壊され解熱作用や解毒作用の効果が薄れてしまうので、大きな豆や蓮の実などと一緒に炊くときは、他の豆などが柔らかくなってから時間差を置いて投入するとちょうどよい柔らかさになります。
【緑豆のスープ】
緑豆のスープは、料理というのもおこがましいほど簡単に作れて非常に栄養価の高いスープです。
つくり方は、緑豆をきれいに洗い、鍋に水といっしょに入れて豆が柔らかくなるまで煮るだけで出来上がり。
夏の真っ盛り、汗ダラダラ、のどカラカラという時、この熱いスープを飲むと不思議なことにのどの渇きが癒されると言われ、のどが渇いた時に冷たいものを飲むとさらにのどの渇きを増すのでこの暑い緑豆スープがオススメです。
また解毒作用があり、食あたりした時にこのスープを飲むと中毒が緩和されるとも言われます。子どものあせももこのスープでカラダを洗うと改善するそうです。毎日このスープを飲んでいるとカラダの毒素が排出され美顔効果もあると言われています。
まさに万能の緑豆スープです。
緑豆スープは滋味深く、冷たい飲み物を飲むより喉の渇きが癒されます。
ぜひ暑気あたりや中暑(熱中症)予防にお試しください。
100 gあたりの栄養価
エネルギー 1,481 kJ (354 kcal)
炭水化物
59.1 g
食物繊維 14.6 g
脂肪
1.5 g
飽和脂肪酸 0.34 g
一価不飽和 0.04 g
多価不飽和 0.61 g
タンパク質
25.1 g
ビタミン
ビタミンA相当量
β-カロテン
(2%)13 µg
(1%)150 µg
チアミン (B1) (61%)0.70 mg
リボフラビン (B2) (18%)0.22 mg
ナイアシン (B3) (14%)2.1 mg
パントテン酸 (B5) (33%)1.66 mg
ビタミンB6 (40%)0.52 mg
葉酸 (B9) (115%)460 µg
ビタミンE (2%)0.3 mg
ビタミンK (34%)36 µg
ミネラル
カリウム (28%)1300 mg
カルシウム (10%)100 mg
マグネシウム (42%)150 mg
リン (46%)320 mg
鉄分 (45%)5.9 mg
亜鉛 (42%)4.0 mg
銅 (46%)0.91 mg
セレン (3%)2 µg
他の成分
水分 10.8 g
水溶性食物繊維 0.6 g
不溶性食物繊維 14.0 g
ビオチン(B7) 11.2 µg
〈ウィキメディアより転載〉
ミャンマー産緑豆
京都伝統中医学で取り扱う緑豆は「ミャンマー産緑豆」ですが、正規に輸入され厚生労働省の安全基準を満たされた緑豆です。
日本豆類協会によりますと、ミャンマーは、緑豆、ケツルアズキ、ヒヨコマメ、ライマメ等の豆類を年間約500万トンほど生産し、豆類の生産、輸出、消費に渡って世界のトップクラスに位置づけられる国です。
1990年代200万トン強の生産量でしたが、今では600万トンに迫ろうとする勢いがあり、輸出についても2000年以降、緑豆、ケツルアズキ、キマメを中心に80~150万トン前後をインドを始めとして世界数十か国に輸出し、ここ数年はカナダに次ぐ世界第2位の豆類輸出国となっています。
日本豆類協会の現地調査によると、ミャンマーの豆類栽培類栽培には堆肥や化学肥料、農薬はほとんど使用されていないとのことで、栽培地では雨期の川の氾濫で運ばれる土で畑の土が入れ替わり肥沃なため肥料がいらないそうです。このように毎年の川の氾濫原を利用する形で、化学肥料や農薬に頼ることなく安定的な農業形態が続くと考えられるそうです。
また、厚生労働省に確認しておりますが、正規に日本に輸入された食品については、検疫所においてモニタリング検査が実施されており、その検査において日本の厚生労働省が認めた基準値以下の検出量もしくは未検出のもののみが輸入許可され、基準値以上の農薬などが検出された場合は全ロットを輸出国に送り戻されるか廃棄処分にされるか食品以外の用途で使用されることになり、市場では流通されないことになります。
厚生労働省 医薬・生活衛生局
食品監視安全課輸入食品安全対策室
ですので、正規に輸入された農産物は安全基準を満たされていますので、安心してお召し上がりください。
[下処理方法]
小豆などのお豆と同じようにお使いください。
※注意事項
1日使用量の目安 30〜120グラム。
注意事項は特にありませんが、寒性なので陽虚体質の方は、冬など寒い季節には摂り過ぎないよう注意してください。
緑豆は小豆に似た素朴な甘さがあって、食べやすい食材です。煮る時間によって味や色が違うため、途中で一部取り出して両方を味わってみるのがオススメ。
短く煮ると、煮汁も澄んだ色で味もサッパリして甘く感じ、少し長めに煮ると豆の味がしっかり出ておいしいです。
煮た豆は、蜂蜜をかけたり他のお料理に使ったりして食べられ、煮汁はお茶として飲みます。煮汁は味をつけずに飲みますが、慣れない人は氷砂糖などの甘みと塩少々で味付けしてもよいです。冷やさずホットで飲むのがオススメです。
そのほか、緑豆をお粥やカレー、スープに入れたり、サラダにトッピングしたり、潰して砂糖を加え緑豆餡(緑豆でつくったあんこ)にしたりと、さまざまな料理に使えます。緑豆と薏苡仁(ヨクイニン:はとむぎ)、赤小豆(セキショウズ:あずき)、茯苓(ブクリョウ)・蓮子(レンツ:ハスの実)などを入れてお粥にすると、利水・清熱解毒・脾胃に良いお粥になります。夏の食欲のない時などにオススメです。
薬膳スィーツ
スープやカレー
サラダにトッピング
煮物やスープ
緑豆粥